相続における財産調査⑴
1 はじめに
亡くなられた方(被相続人)がどのような財産を持っていたか、借金を生前に負っていたのかなどについて分からない場合は往々にあります。
そのため、今回は、相続財産の調査方法について、何回かに分けてお話したいと思います。
なお、必ずしも、これらによって、被相続人の財産の全てが必ずしも明らかになったとはいえない点はご注意ください(例えば、被相続人の財産のうち、家財やタンス預金などは、実際に家の中にあるものを整理などをすることで判明します)。
2 不動産の調査
今回は、不動産の調査方法についてお話します。
不動産については、「流石に財産状況を把握しているよ。」と考える方もいると思います。しかしながら、例えば、家の前の道路や、家の周囲にある田畑・荒地などをも持っているかもしれない、ほかに被相続人が所有していた土地や建物があるかもしれない、などと意外にも分からない点が出てきます。
その際には、「名寄帳」と「納税関係の書類」を取得してみましょう。
「名寄帳」は、固定資産税を課税するために市区町村が作成しているものであり、同一市区町村内の不動産がまとめられています。そのため、同一市区町村内という限定的な範囲ですが、被相続人の不動産を一覧で見ることができます。
また、土地や建物を保有していることで固定資産税がかかるため、課税内容が分かる書類を見れば、逆算的にどの土地や建物を保有しているか調査することができます(逆にいえば、課税されていない土地や建物の場合、これらの書類に記載されない可能性がある点には注意が必要です)。毎年送られているはずの納税通知書・課税明細書などを確認してみてください。
さらに、最近始まったものですが、令和8年2月2日から所有不動産記録証明制度が施行されました。所有不動産記録証明制度とは、相続登記の義務化に伴い始まった制度ですが、登記官において、特定の被相続人が所有権の登記名義人として記録されている不動産について一覧的にリスト化して証明書として交付する制度のことです。
詳しくは、法務省のホームページを見てほしいのですが、特徴として、「住所」と「氏名又は名称」で不動産を検索することにあります。そのため、過去の住所(戸籍の附票を市役所などで取り寄せれば分かります)や、過去の氏名についても検索条件として請求することもケースにより必要となるので注意してください。
なお、当然ですが、未登記の不動産は検索結果に表示されません。
また、余談となりますが、同制度の施行に伴い、不動産の所有者は、住所や氏名・名称の変更日から2年以内に変更登記をすることが義務化されました。義務違反とならないように、今まで住所等の変更があったのに、変更登記をしていなかった方はお早めに登記手続を行いましょう。また、今後、住所等を変更する予定がある場合は、スマート変更登記という便利なサービスが提供されているので、同サービスを利用するか否かも検討することをお勧めします!
このあたりの制度は、最近始まったものですので、ご自身で調べてもよく分からない部分があるという場合は、相続や不動産に詳しい弁護士に相談してみても良いかもしれませんね。
次回は、預貯金の財産調査についてお話していきたいと思います。



